PDM札幌は、新しい時代の歯科治療を提案する歯科医療グループです。

メッセージ

眞坂信夫先生よりPDM札幌へのメッセージ

PDM21(Professional Dental Management 21century)の活動について 良質な臨床と健全な経営は 車の両輪である。

PDM札幌主催 眞坂信夫

なぜ破折歯の接着治療に取り組むのか

PDM21 は「真っ当な診療を行い、真っ当に評価される歯科医療制度の構築」を目的にした歯科専門職の集まりである。
そして、この活動は地域単位で行っており、PDM 札幌は最も活発に展開しているグループである。
日本の医療制度は誰もが制約なしに医療機関を選択できる、世界に冠たる素晴らしい制度である。しかしこの制度は、国民皆保険制度の下で需要面は社会制度で、供給面は開業自由の自由化制度で市場化されているため、矛盾が多い。また、この制度は出来高払い方式であるため、医科においては過剰診療や過剰検査でコストをかけるほど、歯科においては数をこなすほど収入が増える形となる、このため、政府は医療費の膨張を低点数の価格統制によって抑制してきたが、日本が高齢者時代に突入したことでこの医療制度が国家財政を大きく圧迫するようになり、診療報酬体系の見直しが課題となってきた。

このような状況下で、歯科医療においては医科以上に低い点数で抑えられているため、専門職として行使したい医療技術の展開がきわめて難しい状況にある。結果的にはこれが歯科医療の社会的評価を低くし、日本社会に貢献できる歯科医療の価値が理解されない状況を作り出している。
歯科医療には超高齢化社会で増加する要介護者の数を減らすことで、困窮化している日本の医療財政を大きく改善できる力がある。
食は生命の根源である。咀嚼は頭脳活性の根幹である。これを良好に維持する歯科医療には、高齢者のQOLを高くしながら寝たきり老人を減らし、要介護者を少なくする力がある。質の高い歯科医療は長期経過で評価すれば、時間の無駄と費用の無駄がなく、何よりも歯が失われない。これを実証し、歯科医療の低医療費政策を変える基盤を作る。これがPDM21の目標である。

そこで私たちが提案する、保険医療制度の改変を目的とした活動であるが、それには、

  • ①まずは、現在の医療制度の中で保険診療と自費・自由診療を併用することで歯科医療の質を確保する。
  • ②質を確保した治療内容とその結果をデータ化し、質の高い歯科医療が時間的・経済的に得策であることが理解できるようにする。
  • ③集計したデータをウェブで公開し、社会から歯科医療制度に質の確保が必要であるとする要望の声が上がるようにする。

そこで、まずは歯科医療の質を確保するために行う保険診療と自費・自由診療の併用である。これは多くの歯科医院が日常的に行っているが、ここには2つの問題がある。それは、自費・自由診療の併用が社会からは歯科医院の金儲け手段と受け取られ批判されていることであり、また、保険制度のルールに外れた方法で自費・自由診療の併用を行ったことで受ける個別指導である。しかし、これは難しい問題ではなく、為すことを為せば容易に受診者に受け入れていただける問題である。また、ルールを守ることも難しいことではない。

PDM21はこの課題に積極的に取り組み、成果を得られるように情報を交換し、良質の歯科医療を維持するために努力している歯科医療従事者が報われるようにする方法論を提示している。
具体的には、最初に取り組みやすい課題として、破折歯の接着治療に熟達し、その治療法のマネージメントを明確に提示して受診者に喜んでいただけるシステムの構築を勧めている。“破折歯の接着治療” は歯を残す治療としてその価値が受診者に判りやすい。一般的に歯根破折は抜歯と診断され、インプラントかブリッジを勧められているが、現在の受診者はインプラントに大きな不安を抱き、また、歯を切削するブリッジは避けたいとする思いが強い。
したがって、初診時に破折歯接着治療の質的内容が理解できるコンサルテーションと明確な治療計画書の提示を行うことで納得していただき、治療終了後には喜んでいただける環境を構築することができる。また、この治療法は自由診療となるため、保険診療との使い分けを明確にしなければならない。
この、保険診療のルールを守りながら自由診療に切り替えるマネージメントの構築は医院の安定した経営に大きく貢献する。課題は破折歯接着治療の治療技術の習得である。これについては、現在ウェブ会議による症例検討会の構築をベースにした認定医制度を検討中である。

今回のPDM 札幌の活動報告が読者の皆様に活力を与えてくださることを祈念し、同時に、PDM21の活動が少しなりともこれからの歯科医療の発展に貢献できることを願うものである。

眞坂信夫 日本歯科評論 2014年2月号